2018年1月現在、有効求人倍率は1.59倍でなんと44年ぶりの水準だそうだ。就職氷河期にシュウカツしていた僕としてはなんとも羨ましい限りである。

しかし、いくら売り手市場とはいえ、入社後の人間関係については昔とそう変わるものではない。人間関係、すなわち上司とのコミュニーケーションは相変わらず新入社員にとって大きな壁となっている。

この記事では思わず上司をイラッとさせてしまう新入社員がやりがちな行動と、新入社員だった頃の僕の失敗談を紹介していきたい。

まずは僕が上司の立場として実際にイラッとしたことを紹介する。

フランクな言葉づかいをする

上司をイラつかせる新入社員あるあるの代表が言葉づかいだろう。さすがに完全なタメ語で話す人はこれまで会ったことがないが、「今の……んッ?」と思うようなことはいくつかある。

うんうん、そっかー

これは話を熱心に聞こうと頑張っている新入社員ほど多い。ただ、こちらが真面目に説明しているのに、「うんうん」を連発されたり「そっかー」と軽く相づちを打たれたりすると「友達と話してるんじゃナイデスヨー」と言いたくなる。

ですよねー

何か指導や注意をされた時、照れ隠しで「ですよねー」を連発する人がいる。

「○○さん、これはAじゃなくてBだよ」
ですよねー!
「この資料、△△という表現の方がわかりやすいよ」
ですよねー!

「わかってんなら最初からやれッ!」と叫びたくなる。

ちょっと説明しにくいのでいくつか例をあげてみる。

「この仕事もう終わらせたの? すごいね!」
、そうすね」
「お昼、一緒に外でランチしない?」
、いいですよ」

ニュアンス、伝わっただろうか。何かしらの返事の際、短く、そして高めの声で「ま」を頭につける。なんかスカしているので僕はすごく嫌い。

なるほど

なるほど、は目上の人に使わない言葉である。また、これを知らなかったとしても、事あるごとに「なるほど」を連発されると「本当に感心してるのか?」と言いたくなる。「そうなんですね」のような相づち感覚で使うのはやめた方がいい。

要するに、要は

「要するに」や「要は」は「話をわかりすく要約すると」という意味で使われる。言われた側は「ここまで話したことをあなたでもわかりやすい言い方で言い直すね」と受け取ってしまうことがある。言葉のあいだに挟むとテンポよく聞こえるので口癖になっている人も多い。要するに使わない方がいい。

ご苦労さまです

ご苦労さまは目下の人間を労う際に使う言葉だ。目上の人間には「お疲れさまです」が正しい。ただ、これも言い方ひとつかな、と思う。軽く「ごくろうさんっす」と言われると「は?」と思うけど、「ご苦労様です!!」と元気よく言われると「まあいっか」と思ってしまう。

愛想がない

無理に愛想を振りまく必要はないが、笑顔がなかったり、返事が淡白だったりするとイラッとする。……いや、「具合悪いの?」と心配にもなってしまうのでやめてほしい。

本人としては仕事をしに来ているだけ、と割り切ってるのかもしれない。しかし、チームワークを必要とするような職場では少なくとも相手の方を向いて会話する、くらいはした方がいい。

メモを取ろうとしない

仕事を教えている時、メモをとらない人がいる。確かにメモをとるほどの内容じゃなかったり、メモしない方が記憶できたりすることもある。僕自身、普段メモをとらない人なので気持ちはわからないでもない。

しかし、「教えてもらっている」という態度を示すためにはやはり具体的な行動があった方がわかりやすいし印象がいい。メモ嫌いな僕も、人から仕事を教えてもらう時は、メモをとるようにしている(あまり見返すことはないけど)。

他の社員と私語をする

とくに新人研修を受けている時に多いのがコレである。新人同士でつい話が盛り上がってしまうのだろう。学生気分が抜けていないと思われるので、ホントやめた方がいい。

また、私語でなくお節介にも同じ新人に仕事を教えてしまう人も要注意だ。上司からすれば「自分の教え方に不満があるのか?」とか「まだ覚えてもいないくせに何やってんだ」と思わわれてしまう。余計なことはしないに限る。

注意に逆ギレする

これは他のブログや一部ネットニュースでも話題になっており、20代の新入社員に多いらしい。むろん、パワハラのようなことをされたら反論すべきだし、声をあげたっていいと思う。しかし、そうでなく、ただ事実を指摘したりミスを注意されたりしただけで逆ギレするようなことはよくない。

僕は、「自分は優秀だ」と周囲に豪語するくせに、ミスが全く減らない新人を面談した際にやられたことがある。

僕「△△のところなんだけど、先日、それと昨日、同じミスをしていたんだよね」
新「はぁ」
僕「起きたことは仕方ないから責めるつもりはない。だから、今後同じことをしないためにどうするか一緒に考えたいんだ。同じミスをした、って認識はあったのかな?」
新「……」
僕「あ、そうだな。じゃあ、このミスをしないためにできそうなことって何かあるかな」
新「……あの、ちょっといいスか」
僕「ん?」
新「ていうか、この面談ってなんなんスか?
僕「えっ?」
新「そんな、僕だって新人なんだし、いきなり全部できるわけないじゃないスか!

これはかなり衝撃だった。

さて、ここからは僕が新人の頃にやってしまった失敗談を紹介する。思い出すのも恥ずかしい黒歴史だが、ピカピカの新入社員諸君が同じ轍をふまないよう、包み隠さず述べることにしよう。

組織や上司の批判をする

中途採用で入社した会社でこれをやってしまった。

その会社はベンチャーのコールセンターだったのだが、僕がこれまでいた大手コールセンターとは仕事のやり方がまるで違った(というか非効率だった)。もちろん、その改善を期待されて僕が採用されたわけだけど、当時の僕はネゴる(交渉)とか、オブラートに包むいうことを知らなかった。

かたっぱしからフロー、プロセスを批判して、どんどん新しいものに変えていこうとしたのだ。挙句「これって外注の方がコスト下げられますよね?」とか「そもそもこの規模なのに、これだけしかリソースないって、設計段階がおかしかったんですかね」とか、平気で言っていた。

ある日、直属の上司からこう言われて目が覚めた。

「私だって思うことはいろいろある。けど、みんなそれを口に出さないようにして改善しようと前向きに頑張っている。あなたがやっていることは、これまでそういうことを積み重ねてきた組織や上司を批判しているのと同じことなんだよ」

郷に入っては郷に従え、ではないがやはりその企業にはその企業独特の風土というものがある。自分が新しい風となって、改革していきたいという気持ちは痛いほどわかるが、やり方には十分気を付けなければいけない。まずは、信頼関係の構築が第一なのに、僕はそれをせず、ただ空回りしていたのだ。「正論では人は動かない」を痛感した出来事だった。

他に夢がある、と大っぴらに言う

これは僕が高卒で入社した会社でのこと。

当時の僕はバンドで飯を食っていく、という若者にありがちなイタイ夢を抱いていた。けれど、はやく自分の手でお金を稼ぎたくって、進学はせず就職という道を選んだのだ。時は就職氷河期。いくつもの会社を落ちた結果、ある先輩のコネを使い、なんとか採用してもらった会社だった。

入社した当初は大人しくしていたと思う。しかし、仕事に慣れ、その先輩とよく飲みに(※未成年者の飲酒は法律で禁止されています)行くようになった頃、僕は「将来はバンドで成功したい」という夢を語るようになっていた。先輩も夢を応援してくれたし、ライブにもよく足を運んでくれた。

僕が入社した会社は貿易関係の会社で、僕は輸入した商品を販売する店舗の販売員として従事していた。その会社では、販売員として数年働いたら営業部へ異動するのが通常コースらしい。そしてある日、その営業部の部長と飲むことになった。

部長「18歳なんてまだまだ若いし、将来が本当に楽しみだね」
僕 「はい!」
先輩「まだ数カ月だけど、仕事もなれたし、アイデアも色々出してくれるんですよ」
部長「そうなのか、君には期待しているよ」
僕 「ありがとうございます。頑張ります」
部長「3年後にはうちに来てもらって、まずは営業を覚えてもらおう。君なら人あたりも良さそうだし、活躍できると思うよ」
僕 「え、3年後ですか」
部長「3年はかなり早い方だよ。もっと時間がかかる人もいるしね」
僕 「いや、3年後だとちょっと会社にいるかどうか。バンドも軌道に乗ってきているんで
部長「ん……そうなの」
先輩「(小声)ばかっ」
僕 「それに営業職が僕に務まるかどうか。僕、ロックやってるんで知らない人に頭下げられるかわからないですしwww
部長&先輩「……」

夢を語ること自体悪いことではない。しかし、それを語っていい相手、悪い相手がいること、またその語り方を当時の僕は知らなかった。先輩を裏切るだけでなく、一生懸命務めている仕事をディスるような冗談まで言ってしまい、本当に人の気持ちが考えられないバカヤロウだったと思う。

その後先輩は一切口を聞いてくれなくなった。社内での雰囲気も気まずくなり、わずか5カ月で退職することになった。この出来事は僕の人生で一番恥ずかしく、若気の至りでは済まされない思い出である。

まとめ

いかがだろうか。改めて記事を見返すと「本当にこんな行動するやついるか?」と疑問に思うかもしれない。しかし、紹介した内容はすべて僕の実体験である(新入社員の立場としても上司の立場としても)。

これらには、相手の気持ち、相手の立場を考えずにとってしまった行動という共通点がある。少しでも相手のことを考えていれば、こうした失敗をすることはないだろう。

新入社員にとって、これまでとはまったく違う環境におかれていることは十分理解できる。けれど、学生時代にだって家族、友達、先輩との関係があったと思う。そういう関係において、常に自分本位であったということはないだろう。根本的なことは相手が上司であっても変わるものではない。

僕と同じ失敗をしないためにも、人と接する時は、想像力をフルに発揮して、相手の気持ちを知ることに尽くしてもらいたい。