子供にクレームをつけてみた

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僕は基本的に土日休みなのですが、うちには連れ子が2人いるため、休日といえどゆっくり休むことはできません。しかし、子供たちのおかげで癒されたり救われたりすることがたくさんあるので、結果的には今のシフトで満足しています。

さて、この間の日曜日のこと。

僕がフライドチキンやら、スペアリブやらクリスマスパーティー用の料理(クリスマス当日は出勤なので)を作っていると、4歳の長女がトコトコとやってきました。

「クッキーとおせんべい、かってくーださいっ」

どうやらお店屋さんごっこをしているようです。

「じゃあください」とお金を渡すフリをして、パクパク食べるマネをすると大喜びしています。そしてニコニコしながら今度は母親のところへ向かい、同じようにクッキーとおせんべいを売っていました。

全く可愛いんだから、と思いながら料理を作っていると……。

「クッキーとおせんべい、かってくーださいっ」

「あーうん。はい、おかねー。パクパク、おいしーねー。ありがとー」

先ほどと同じテンションで対応します。そして彼女は満足気に去って行きます。子供というのは楽しいことがあると何度でも繰り返す習性があります。そしてこの後2回もクッキーとおせんべいを買わされました。

さすがに3回目となると、こちらもいちいち作業の手を止めなくてはいけないので若干イラっとしてきます。

「はい、おかね。。はい、ごっそーさん」

投げやりな対応です。しかし、ここで怒ったり怒鳴ったりしてはいけません。なんとかそうせずにこの遊びをやめる方法はないか、考えました。

そうだ、クレームをつけてみよう。

通常、子供との遊びは子供が求める答えを出して楽しませるものですが、今は一刻も早くこの無限ループから脱出しなくてはいけません。

「クッキーとおせんべい、かってくーださいっ」

きた! このターンでお店屋さんごっこを断ち切ります。

「ちょっと!おたくで買ったクッキーとおせんべいを食べたらお腹が痛くなったわよ。どうしてくれるの?!」

「……」

絵に描いたようなクレーマーです。

子供はまさかの反応に唖然とし、何も言わずに僕の元を去っていきました。少し可哀想ですが、大成功です。

ふぅ、と軽いため息をついて、フライドチキンを揚げ始めます。良かった、これでお店屋さんループを断ち切ったぞ。

2度揚げにさしかかろうとした時、去ったはずの娘がまた僕のところへやって来ました。

まさかまたクッキーとおせんべいを売りつけられるのでは?!

「…あの、えっと、薬どうぞ!!」

なんと、彼女はクレーム対応をし始めたのです。大人のように謝罪したり、賠償金を払うなどの選択肢はありませんが、腹痛=薬、という図式が彼女の頭の中で成り立ったのでしょう。

そのあともめげずに何度も足を運び「おなかはどうですかー?」とアフターフォローを欠かしません。さらに驚いたのは、僕が「薬のおかげでお腹は良くなったよ。ありがとう」と言ったあとのことです。

「あたらしいクッキーとおせんべいはおなか痛くならないから、どーぞ」

一定の不満の解消が得られたと感じたのか、今度は安全性をアピールして、改めてサービス展開をし始めたのです。

彼女はクレームに対して誠心誠意対応し、さらに顧客を逃がさない手を打ってきたといえます。

子供から学ぶことは多い言うけれど、まさかクレーム対応の基本を教えてもらうとは思いませんでした。

ん? ただの親バカじゃないかと?

確かにそれはあるかもしれませんが、僕はこのやり取りの中に、クレーム対応で忘れてはいけない基本的要素がいくつも散りばめられているなぁ、と思いました。


以上、4年も前に書いた記事が下書きに残っていたので、思わず公開してしまった。今では彼女も8歳になり、すっかり生意気に……。それと下の子が生まれ、私は3人の親になった。

ちなみにあれ以来子供のごっこ遊びにクレームをつけることはないが、日々「これって、仕事でいうとこういうことだよなぁ」と唸らせられるようなことがあり、やっぱり子供っておもしろいなぁ、って思う。

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この記事を書いた人
きむにぃ

長年にわたりコールセンターの研修講師として従事。自身が開発した業務研修では、独自の教育ノウハウを用いて離職率35%→0%を達成した。2018年に「自らの個性を輝かせながら良好な人間関係を築く力を持つ人を一人でも多く増やす」をモットーに独立。教え方と伝え方の相談所を設立し完全オーダーメイド制の個人レッスン事業を開始。また、株式会社クラウドワークスが提供するマンツーマンのスクールサービス「サイタ」では合格率11%の認定試験を通過。コミュニケーション力を上げる話し方コーチとしても活躍中。

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